盲導犬アンソニーがゆく!

アンソニー(♂)  盲導犬アンソニーは、財団法人日本盲導犬協会より無償貸与されています。     

 

2007年07月20日

苺一会

苺一会2008年01.jpg
『苺一会』
もし自分が大切だと思える人が明日限りの命だとしたら、
もし明日大切な人の目が見えなくなると知ったら、
あなたはその大切な人の瞳に何を見せてあげたいですか?
朝方 亡き父の夢を見ました。
父が亡くなってから初めてのことでした。父の最期は穏やか
で優しいものでしたが、父は意識ある最期のとき、その瞳は
何を捕らえていたのだろうか…と
ふと考えました。
つらづらと思い出してみると 意識がしっかりあったのは
確か逝く日の朝、母が白い有田の器に入れて差し出した、
真っ赤な三つの苺ではなかっただろうか…と。
暖かな冬の陽射しが障子越しに注ぎ 南天の影を
映しだしていました。
その影は父の顔をゆらゆらと揺れ落ち、父は少し
眩しそうでした。
もう父には赤い苺へとその手を伸ばす力もなく、
母がその口元へ持っていきました。
「うまいなぁ‥」一口かじりゆっくりと飲み込みながら
もう要らないよと静かに笑いました。
その苺が父の最期の食べ物となりました。
一泊の外出から病院へ戻り しばらくすると
意識がなくなりました。
そっと父の顔に触れると、
その両目からはスーと涙が流れていました。
そんな父にすがりつき ただただオロオロしながら
泣くだけの母。
私はそんな父の瞳に、最期に映してあげられたのは、
きっと紛れもなく自分の笑顔だったろうと今まで信じて
いました。
でもそれは昨日までのこと…
朝 父が夢に現れ知らせてくれたこと…     
父がその眼に最期に映したものは      
真っ赤な苺だったのかもしれません。
苺は私が10才のころ、引っ越してきたその新しい家には庭があり、
初めて父と一緒に植えた植物でした。
チューリップでもなくパンジーでもなく、
苺の小さな小さな愛らしい花がとっても可愛くて、おねだりして買ってもらったものでした。
その年、苺はたくさんの可憐な花を咲かせ、たわわに実を結び、
真っ赤に熟れた苺は白い有田の器に美しく盛られ、甘くみすみずしく
おいしかったことを今でもはっきりと憶えています。
父がこの世で最期に見たものは、赤い赤い苺だったのかもしれません、苺は私と父の大好物です。私がこの眼で憶えている父の姿はやはり笑顔です。
大好きな空の色も海の輝きも 吹き渡る風や雲の形も
移ろう木々のざわめきも光も影も そして季節を彩る花も
桜吹雪も みんなみんな憶えています。
そしてかけがえのない大切な人の笑顔もちゃんと憶えています。
その人のきれいな笑顔は決して忘れないでしょう。
私の眼に映してあげたいんだと、その人はいつだって満面の笑顔でした。 
そうそう、お父さん。
あちらでも苺食べていますか。
あの時の苺は本当においしかったですね。
庭の濡れ縁で足をぶらぶらさせながら二人して甘い甘い苺を食べましたね。
きっとお父さんはその頃のことを想い出していたんですね。
今になってあの涙の意味がやっと分かったような気がします。
「苺一会」またいつかどこかで会いましょうね、
お父さん。
◆◇ ヨーコ  & アンソニー  ∪=^ェ^=∪ ◇◆ 
posted by アンコ at 23:07| Comment(3) | TrackBack(0) | よう子さんのエッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
さどーん!アンソニー!
ブログ読んだよん!二人の活躍をこれからはブログで知る事が出来るんだね♪又今度ゆっくりゴハンでも食べよ!!じゃあねぇ手(パー)
Posted by イシイ レイコ at 2007年08月13日 07:02
洋子さん

すてきなブログのメッセージありがとう♪

洋子さんに会うと、とっても元気になれます。どうしてだろう??って
思ったら、それは洋子さんは
「苺一会」を小さいころから大切にして
お父様に育てられたから、
いつもいつも、人に対して暖かいからなのかなって ブログを拝見して思いました。

今は 夏休み 犬好きの子どもたちのママに早速洋子さんのブログを紹介します。

Posted by にしかワン at 2007年08月13日 16:24
読んでいて涙がこぼれてきました。
「苺一会」という言葉に感動です。この一言に、貴方のいろいろな思いが詰まっていることを感じました。

Posted by ちわみ at 2007年09月07日 10:45
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