盲導犬アンソニーがゆく!

アンソニー(♂)  盲導犬アンソニーは、財団法人日本盲導犬協会より無償貸与されています。     

 

2007年04月23日

亡き父とテッセン

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        亡き父とテッセン
「亡き父への旅」今年もテッセンがたくさん蕾をつけ見事
に咲いてくれました〜よかったぁ!
私は花が大好きです。視力が薄れゆく頃
「今見えているうちに」と、四季折々に彩る花を
あちこち出かけていっては、その花の姿を色を
しっかりと目に焼き付けようとしていました。
そんなことをなんのきなしに父に話したところ、
その次の日から父は家にやってきては実に
たくさんの花を植えだしたのです。
このテッセン(クレマチス)から始まり雪柳ツツジ
 コスモス 金木犀  ツバキ 百合 スミレ 朝顔
夕顔、桜草などなど。
我が家の小さな小さな庭には
シーズンがくると、毎年芽を出し蕾をつけ一年中花が
絶えることなく咲きほこり、いつだって私の目を楽しませ
てくれました。
春、このテッセンが咲くと亡き父のことを想いま
す。
「ヨーコの目がやがて本当に見えなくなって
しまったら、大好きな花を見に行くのはさぞ大変
だろう。そんなときのために花を植えておこう」
そう言ったそうです。そのことを知ったのは、
父が亡くなったあとのことでした。そんな父が
いなくなって3年がたちました。
今はこのテッセンと百合の花しか残っていません。
父が亡くなったと同時に、主を失ったかのように
木や花は少しずつ枯れていってしまったのです。
父は突然病に倒れ、病名と余命を宣告されま
した。
そのことを痩せ細った身体でしっかり受け止め、
最期のときまで悔いのない人生を生きる父を、
また私もしっかりと全身で見つめました。
早春の陽差しの中病室で、むくんだ父の足を
マッサージすると「あぁ、ありがたいなぁ、気持ち
いいもんだなぁ」とつぶやきよく花のこと肥料や
水やりのことを話してくれました、
父と過ごす穏やかな時間でした。
父の容態が悪化し
その最期を、担当医の許可を頂いてずっとそばに
その父の身体に添い、一方の手で脈をとり、
もう一方の手で息に触れ、心臓に耳をあて、
薄れゆく父の意識、最期の脈拍最期の心音、
そして一番最後の一呼吸をこの手で看取ることが
できました。
最期に肺がゆっくりと萎んでゆくのがよく
わかりました。それは細くて長い長いため息の
ような最期の呼気でした。
私はまだ温かい父の身体をさすりながら
「お父さん、本当にお疲れさま!よく頑張った
ね!大丈夫だからね怖くないからね。
またいつかどこかで会おうね。
それまでゆっくり休んでね、
ありがとうございました」
とずっと話しかけていました。
いつのまにか先生も看護師さんも泣いておられ、
最期まで頑張った父に言葉をかけてくださいま
した。不思議と涙がでてこなかったのは、
しっかりとこの手でこの腕で父の命を抱きしめ
看取ることができたことと、父のことを明るく
元気に見送りたかったから。
これもあとから聞いたことですが、父は最後
まで私の障害のことを心配していたそうです。
そんなそぶりも全く見せない父。
ありがたくてありがたくて、そこで初めて親を
失うというのは悲しみが深いものだと思い知
らされました。
父は盲導犬がやってくることをとても
喜び楽しみにしていました。
そして一緒にどこか旅に行こうと。
父の亡きあと3ヶ月後に盲導犬アンソニー
が我が家に新しい家族としてやってきました。
父と盲導犬と旅に出ることは叶いませんでし
たが、アンソニーと一緒に父に会いに行きま
した。その墓前でアンソニーを紹介し
「ほら、お父さん!いいでしょう!間に合わな
かったけれどとってもいいコよ。
いつまでも応援してね!」と報告しました。
私の傍らに寄り添うアンソニーの足下に、
ひっそり百合の花が咲いていました。
アンソニーと出逢って3年、彼のお蔭でまた
色々なところへ旅に出られるように
なりました。
海の向こうにも出かけていきました。
でも生前父と旅した道はまだ歩いていま
せん。
「そろそろ訪ねてみよう」
今年のテッセンに触れながら父との旅に
いを馳せています。
◆◇ ヨーコ  & アンソニー  ∪=^ェ^=∪ ◇◆   
posted by アンコ at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | よう子さんのエッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんなに感動されるお話は聞いた事がありません。
貴女の視力が衰えるのを聞いて 美しい花を目に焼き付けておこうと 沢山の美しい花を植えて下さったお父様何と やさしく 心のこもったお父様だったでしょう。
医師から視力が衰えるとの残酷な宣告を受けると 誰もがそれを受容するまで混乱・葛藤するものです。
その時期をお父様が愛する娘のための出来るだけのことをして下さったのだと思います。
しかし残酷な事にそのお父様を 天国に召される事になるとは・・・・・・・・自分ならば 神も仏もあるものか! の気持ちになるところですが ヨーコさん 貴女は違います 全く正反対に積極的に生きる道を見つけ歩んでいます。羨ましい限りです。
きっとお父様が天国から 貴女とアンソニーの歩む道を正しく導き、見守っていてくださる事と思います。
今後の更なる大発展を期待しています。
Posted by 元 at 2007年08月20日 23:40
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